どうも菊之進です!
「交渉」ときくと即座に営業マンの価格交渉をイメージされるかもしれませんが、それだけではありません。営業に限らず、全ての人に交渉力は必要になります。
仕事においては、上司と部下の間における意見の対立をまるくおさめたり、取引先とのトラブルやクレーム対応においても事を荒立てず速やかに問題解決できます。
プライベートにおいても、意中の人をデートに誘ったりとか、店員さんに値下げ交渉をもちかけたりとか、恋人同士の意見の食い違いによる喧嘩を防いだりできるのです。交渉上手とはすなわち世渡り上手のことです。
そこで今日は、交渉力のある人の特徴をざっくりと紹介し、交渉上手な人に対するイメージを深めたうえで、相手からYESやOKを引き出す!具体的な交渉のコツをご紹介します。それではどうぞ!
記事の内容を動画で聞きたい人はこちら↓
▶︎YouTube:交渉力のある人の特徴7選!相手からYESを引き出すコツも
1.交渉力とは
交渉力とは何か?辞書の言葉を参考に次のように定義づけることができる。
交渉とは、ある事柄を取り決めようとして相手と話し合うことであり、交渉力とはその話し合いを成功させるための技術や手法のこと。
参考:精選版 日本国語大辞典,『日本の人事部』
そのほか、交渉力に関する書籍をいくつか読んでみると、次のように定義されている。
- 相手と自分、お互いの利害を分析し調整することで合意を目指す力
- 無用な対立を回避し、よりよい結果を導く力
- 相手と自分がWin-Winになる解決策を探す力
- 話をまとめる力
- 人を動かす力
総じて「交渉力とは、未来のことがらについて話し合い、双方が満足する解決策をみつける力である」といえるだろう。
2.交渉力が役立つ場面
交渉力があると、あらゆるビジネスシーンで役に立つ。例えば、次のような場面であなたをサポートしてくれる。
- 職場の揉め事(上司、同僚、部下、顧客との意見の対立や衝突を少なくし、人間関係のいざこざを解決できる)
- ビジネス交渉(価格交渉、納期交渉、条件交渉といったかけひきの場面で双方が納得する解決策をみつけたり、トラブルやクレーム対応ではその場をまるくおさめることができる)
- 電話対応(先方との話をこじらせずに上手な対応ができる)
- 会議(平行線をたどっていつまでも結論がでないグダグダ感から抜け出せる)
- 企画の提案(意見が通りやすくなる)
一方で交渉力があると、プライベートでも助かる。
- 意中の人にデートの約束をとりつけたい
- 奥さんにお小遣いアップをもちかけたい
- 旦那さんに子育て、家事を協力してほしい
- 休日のお出かけ交渉をしたい
- 喧嘩したあとの仲直りをしたい
- 両親と意見が割れたときに双方が納得できる解決策を導きたい
などなど。家族や友人、恋人同士のあいだでおこる人間関係の摩擦も少なくできる。
3.交渉力のある人の特徴7選
交渉上手な人には7つの特徴がある。
- 観察眼がある:相手の仕草や話すときの表情、体調などについて、小さな変化や違和感を感じ取ることができ、交渉のタイミングを見抜く目がある
- 聞き上手:相手の話に耳を傾け、相手の主張の裏に隠れた本音を引き出せる
- 説明上手:自分の伝えたいことを相手に分かりやすく正確に伝えることができる
- 提案上手:相手のニーズを汲み取り、価値のある案をだせる
- 安心感がある:ルールやマナーを守り、ウソをつかずに誠実である
- おもいやりがある:相手の立場で考えることができ、相手の意見や要望も最大限に尊重する
- NOと言える:なんでもかんでも相手に合わせすぎず、不利な取引でしっかり断る勇気を備えている
以上7点。交渉上手な人は、自分と相手の双方が満足する解決策を見つけるのに必要な能力が身についている。
4.交渉力を高める5つのコツ
ここでは、交渉のコツを「新居探しで夫婦間の意見が割れた時」を例に出しながら紹介しよう。
①相手の価値観を知る
交渉する際に一番大切なことは相手の価値観を知ること。相手は何によってイエスやノーを決めているのか。相手の立場や考え方を理解することで、交渉で使える「駆け引きの材料」を増やすことができる。それによって、交渉が成立する可能性がグッと上がる。
ここで新居探しを例にしよう。引越しをして新居を探す際に夫婦間の意見が割れることはよくある。夫が「ここにしよう!俺はここが良いと思う」と2、3軒候補をだしても妻に全て却下されるというのはざらにある話。その理由は妻の価値観をきちんと把握せずにいきなり交渉に持ちかけようとしたからだ。
交渉を成功させるためには、まずはじめに相手の価値観をしっかり把握する。自分は、相手の価値観を理解しているつもりでも、実際に尋ねてみると全く違う答えが返ってきたり、見逃していた条件がみつかったりする。
新居探しの例で言うと、自分の中では妻は「デザイン重視」で選んでいるものとばかり考えていたが、ちゃんと確認してみると、実はそれ以外にも譲れない項目があることに気づく。
以下は、妻が新居探しで重視しているポイントを優先順位で示したものだ。
1位:内観のデザインがおしゃれ
2位:事故物件ではないこと
3位:家賃がお手頃
4位:利便性がよい(駅に近いか。生活に不自由しないか)
5位:必要最低限の部屋数がある
6位:騒音が少ない
7位:災害リスクが低い
8位:築年数が浅い(建物が新しい)
実際に聞き出してみると、このようにたくさん出てくる。そして、これらは後の交渉において、妻からYESを引き出すための駆け引き材料になる。
どういうことかというと、例えば、夫が選んだ物件の「部屋のデザイン」が多少劣っていたとしても、家賃や利便性、部屋数などで優れていれば、妻からOKがでる可能性は十分あるということだ。交渉を成功させるためには、相手の価値観をしっかり確認し駆け引きとなる材料を増やしておくことが大切なのである。
②最善の代替案を準備する
交渉が決裂した場合に備えて、それに次ぐ最善の代替案をあらかじめ準備しておこう。交渉学ではこれをバトナと呼ぶ。
英語でBest Alternative To Negotiated Agreementの頭文字をとってバトナと呼ばれる。直訳すると、「交渉で合意するための最善の代替案」となる。バトナを設定しておくことで、次のメリットがある。
- グダグダな交渉にならず落とし所がつけられる
- 相手の主張にのまれて自分だけが不利になるような交渉を回避できる
- 心に余裕がうまれて無理に話をまとめることがなくなる
はじめから自分の希望が100%通る交渉なんて滅多にないので、最善の代替案であるバトナを事前に設定しておくのだ。
③交渉が上手くいかない時の秘策!新しい価値を提案する
先ほど設定したバトナでも交渉が決裂することはもちろんある。そんなときは、新しい価値を提案しよう。相手自身も気付いていない価値に気づかせてあげるというやり方だ。分かりやすくイメージするために先ほどの新居探しの例をあげよう。
妻はデザイン重視の部屋を探していたが、デザインというものは、住んで数ヶ月で慣れて飽きるものだ。長く住むにあたっては部屋の機能性の方が大事になってきたりする。
- 日当たりが良いか
- 水回りにカビが生えていないか
- 下水やタバコの臭いがしないか
- 窓を開けた時の通気性がよいか
- スマホの電波状況が悪くないか
- コンセントの位置や数は大丈夫か
- 耐震構造に問題ないか
- 防犯面で安心できるか
- ゴミ捨て場が近いか
- 駐輪場は屋根付きか
- 宅配BOXはあるか
- 付近の治安に問題ないか
などなど。
妻の今現在の生活と照らし合わせながら、これらの条件も大切であることを分かってもらえれば、再び交渉の余地がでてくる。一度拒否された夫の提案も、再び息を吹き返すチャンスとなる。
④交渉の姿勢は「ウォームアンドタフ」
ウォームアンドタフ(Warm & Tough)は交渉の基本姿勢と言われている。Warmは、心が温かい。Toughは粘り強いことを示す。自分の意見を簡単に曲げないタフな精神と、相手へのおもりやりが交渉成立への鍵となる。
これも、新居探しの事例にたとえると分かりやすい。自分の主張が受け入れられないことで、ムッとした表情が顔にでたり、イライラして嫌味をいったりする夫をみた妻はどう思うだろうか。交渉は成立しないばかりかケンカにもなって最悪だ。
反対に、たとえ意見が対立しても妻を気遣い、理想の新居探しに協力する姿勢をとったとしたら、妻はどう感じるか。その姿勢に心打たれて夫にある程度の条件を譲歩してくれるかもしれない。
このように、交渉相手へ好意を示せば、相手からも同じく好意で返ってくる可能性は高い。ウォームアンドタフのウォームがクールになってしまう人がたくさんいるので、ここは特に気をつけなければならない。相手への思いやりは交渉をスムーズにする。
⑤チャルディーニの法則を利用する
マーケティングや営業の分野では、ターゲットになる客層の心を動かすために日々、様々な心理戦が行われている。その心理戦の大元になっているのがチャルディーニの法則だ。
チャルディーニの法則は、「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」の6つの要素から形成される。この法則をつかうと交渉相手の心も動かしやすくなる。それぞれの意味を簡単に紹介しよう。
- 返報性:人は親切をされると親切で返したくなる
- 一貫性:人は自分の考えや行動に一貫性を通したい
- 社会的証明:人は社会的に評価の高いものに魅力を感じる
- 好意:人は印象の悪い人より好印象の人の意見を受け入れやすい
- 権威:人は相手の肩書きや社会的に影響力のある人の意見を正しいと感じる
- 希少性:人は残りすくないものや珍しいものに価値を感じる
それではここで、新居探しの例にあてはめてみよう。
- 返報性:交渉相手である妻に親切にすれば親切が返ってくるかもしれない
- 一貫性:妻の実生活の様子を踏まえながら、自分の推す新居を提案すれば「たしかに」と受け入れてもらえるかも知れない
- 社会的証明:自分が推したい物件の社会的価値を調べてみる(実際に住んでる人の生の声やトラブルの発生件数の少なさをアピールしてみれば妻の考えが変わるかも知れない)
- 好意:すでにお話しした返報性やウォームにも似ていますが、意見の対立した妻に対して思いやりの気持ちをもって接することで、妻が譲歩してくれる可能性がある
- 権威:案内してくれる管理会社の担当者を見方にして「プロの目から見てこちらの物件のほうがいいです」といってもらう。そうする事で妻の心が揺れるかもしれない
- 希少性:自分が推したい物件について、唯一無二のいいところがないかを調べておくことで、交渉時にアピールできる
以上。交渉場面でチャルディーニの法則を上手く活用すれば、相手があなたの意に沿った選択を選ぶ可能性が高まるだろう。
5.まとめ
交渉力とは、未来のことがらについて話し合い、自分と相手の双方が満足する解決策をみつける力のこと。交渉力があると、次のようにあらゆるビジネスシーンであなたの役に立つ。
- 職場の揉め事
- ビジネス交渉
- 電話対応
- 会議
- 企画の提案
もちろん、プライベートでも助かる。
- 意中の人にデートの約束をとりつけたい
- 奥さんにお小遣いアップをもちかけたい
- 旦那さんに子育て、家事を協力してほしい
- などなど。
家族や友人、恋人同志のあいだでおこる人間関係の潤滑油になるだろう。つづいて、交渉が上手な人には7つの特徴があった。
- 観察眼がある
- 聞き上手
- 説明上手
- 提案上手
- 安心感がある
- おもいやりがある
- NOと言える
最後に交渉力を高める5つのコツは次のとおりだ。
- 相手の価値観を知る
- 最善の代替案を準備する
- 交渉が上手くいかない時の秘策!新しい価値を提案する
- 交渉の姿勢は「ウォームアンドタフ」で
- チャルディーニの法則を利用する
この中でも①が一番大事。相手の価値観をしっかり把握するだけでも自然と交渉上手になれる。彼を知り己を知れば百戦危うからず。是非試してみてほしい。応援しています。それではまた!