ビジネスシーンでよくある「間違い敬語」を正しく変換!

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どうも!菊之進です。

敬語は相手を敬い人間関係を円滑にする潤滑油ですが、使い方を間違えるとかえって失礼な印象になり、余計な摩擦を生んでしまいます。そこで今回は、ビジネスシーンで間違いやすい敬語をピックアップして、相手に不快な思いをさせない響きの良い敬語に変換していきます。

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菊之進
それではどうぞ!

1.敬語の基本

はじめに、敬語について最低限の知識をおさらいしよう。敬語は主に、尊敬語,謙譲語,丁寧語の3つに分類される。

尊敬語:相手をもちあげる言葉。文章の主語が「相手」になる時にしか使えない。
謙譲語:自分をへりくだることで相手を立てる言葉。文章の主語が「自分」になる時にしか使えない。
丁寧語:相手を上げずに自分も下げずに敬意を示す言葉。文章の主語が相手であろうが自分であろうが使える。

尊敬語も謙譲語もむずかしくない。どちらを使うべきかは、文章の主語を考えたらすぐに分かる。百聞は一見に如かず。早速、ビジネスシーンでよくある間違いやすい敬語を正しい敬語に変換していこう。

2.間違い敬語を正しく変換 25選!

ここでは、間違いやすい敬語を厳選してご紹介する。

①させていただく

「させていただく」という言葉は日本語として間違いではないが、その使い方には注意が必要だ。文化庁によると「させていただく」は、「相手からの依頼や要望があって、それに応える場面であれば使っても良い」とされている。そのため、相手から何も頼まれていない場面でつかうのは好ましくない。

例えば、相手から、資料を配っておいてと頼まれもしていないのに、「お手元に資料を配布させていただきました」と発言するのは不適切である。相手によっては、「別に頼んでないし。あなたが勝手にしたことでしょ」と不快に思う人もいるだろう。

「ご連絡させていただきました」や「ご紹介させていただきました」なども同様。自発的な行為に対しては「させていただく」ではなく「いたしました」を使おう。資料を配布いたしました。ご連絡いたしました。ご紹介いたしました。とするのが適切である。

参考:文化庁「させていただく」といった敬語の形式

②伺ってください

「詳細はあちらの担当者に伺ってください」

この文章の主語は、「あなた」になるので「伺う」という謙譲語は使えない。尊敬語を使うのが適切だ。聞くの尊敬語である「お聞きになる」を用いて、「詳細はあちらの担当者にお聞きになってください」といい変えよう。

③おっしゃられた

「課長がこうおっしゃられた」

一見正しく聞こえるかもしれないが、「おっしゃる」と「られる」で二重敬語になっている。過剰な敬語は、相手に違和感を感じさせるので、「課長がおっしゃいました」とするのが適切。

そのほかにも「〇〇さまがお見えになられました」や「〇〇さんがお休みになられました」も二重敬語の代表例となるので気を付けよう。「お見えになりました」「お休みになりました」で問題ない。

④参りましょう

「部長、そろそろ参りましょう」

これもよくある間違い敬語。「参る」というのは「行く」の謙譲語なので、主語が自分になるときしか使えない。この文章の主語は部長になるので、「行く」の尊敬語である「行かれる」か「おいでになる」を使おう。

「部長、そろそろ行かれますか」や、「おいでになりますか」が好ましい。あるいは、「出かける」を尊敬語にして「お出かけになりますか」とするのも良い。

⑤ご苦労様です

上司に対して「ご苦労様です」は不適切。日本語的には正しい敬語だが、辞書にはこう記されている。

「ご苦労様」は目上の人から目下の人に使う出典

デジタル大辞泉(小学館)

目上に対しては、「お疲れ様です」と言い換えよう。

⑥いかがいたしましょうか

「デザートはケーキかアイスかどちらかをお選びいただけます。いかがいたしましょうか」

いたしましょうかの「いたす」は「する」の謙譲語なので、文章の主語が自分である場合にしか使えない。ところが、この文脈では、文章の主語は「相手」になる。あなたはケーキかアイスどちらを希望されますか?という文章に言い換えられるはずだ。

よって「する」の尊敬語である「なさる」を使うのが適切。「ケーキかアイスどちらかをお選びいただけます。いかがなさいましょうか」と言い換えよう。

⑦おわかりいただけたでしょうか

「ここまでのご説明でおわかりいただけたでしょうか」

敬語表現としては間違っていないが、上からものを言っているように感じてしまう。そうならないためにも、「ここまでで何かご質問はありますか」や「ご不明な点はございませんか」と言い換えよう。言葉のニュアンスがやわらかくなり、角が立たない。

⑧大変参考になりました

参考という言葉には、「自分の考えの足しにする、自分の考えを決める材料にする」という意味が含まれてり、目上の人に対して使う場合は失礼になる。そのため、「勉強になりました」や「たくさんの学びが得られました」と言い換えたほうが印象がよくなる。

⑨つまらないものですが

「つまらないものですがどうぞ」

といわれると「とるに足らない、つまらないものをどうして選んだの?」と思われてしまう可能性もある。相手に誤解されないように「ほんの気持ち程度ですが」や「お口にあうと良いですが」、「こころばかりですが」などと言い換えよう。

⑩どちら様でしょうか

会社に訪問されたお客さんに「どちら様でしょうか」とたずねると直接的で、少し冷たい印象になる。せっかく会社まで足を運んでもらったので、「御来社いただきありがとうございます。お名前を伺ってもよろしいでしょうか」などと言い換えよう。

⑪了解しました

了解には、承認するという言葉の意味が含まれている。承認とは「認め許す」ことで、目上の人が目下の人に対して行う行為である。よって、目下の人が目上の人に「了解しました」というというのは失礼に当たる。

実際に、部下の「了解です!」に違和感を感じる上司も多いことから、「承知しました」や、「かしこまりました」と言い換えるようにしよう。

⑫お座りください

来客時に「どうぞお座りください」と着席を促すシーンがあるが、控えた方が良い。お座りと言う言葉は、犬のしつけでよく使う言葉として定着していて、目上から目下のものに使われる印象が強いからである。それよりも、「腰を掛ける」の尊敬語である「おかけになる」を使って「どうぞお掛けになってください」と言い換えよう。

⑬なるほどですね

「なるほど」には「いかにも、確かに」と相手を評価する意味が含まれているため、目上の人に使うのは控えた方が良い。「おっしゃる通りです」や、「全く知りませんでした」などと言い換えよう。

⑭お客様をお連れしました

「課長、お客様をお連れしました」

これでは、お客様ではなく、課長に対して敬意を払っていることになる。客のいないところで使うのは問題ないが、客がすぐ近くにいるところで使うのは好ましくない。「来る」の尊敬語である「お見えになる」を使って、「課長、お客様がお見えになりました」というのが適切である。

⑮申されていました

「部長が申されていました」

これは間違い敬語。「申す」というのは「言う」の謙譲語で、文章の主語が「自分」である時にしか使えない。この場合、主語は相手になるので「言う」の尊敬語である「おっしゃる」をつかって、「部長がおっしゃっていました」とするのが正解だ。

⑯すみませんが

「すみませんが会議に少し遅れます」

連絡先の相手とフランクな関係なら問題ありませんが、自分より目上にあたる人の場合は、注意が必要。反省や謝罪の意が伝わるように「大変申し訳ありませんが会議に少し遅れます」と言い換えよう。

⑰こざいます

「○○様でございますね」

「ございます」は「ある」の丁寧語であり、通常は物に使う敬語表現となる。「資料はございますか」や「質問がございます」という使い方はできるが、対象が人になる場合は使えない。その場合は「いる」の尊敬語である「いらっしゃる」を用いて「〇〇様でいらっしゃいますね」とするのが適切だ。

⑱よろしかったでしょうか

「今、お時間よろしかったでしょうか」

と相手に尋ねるのは違和感がある。よろしかったは過去形なので、現在進行形で確かめるようにしよう。「今、お時間よろしいですか」に言い換える。

ただし、以前話し合っていたことが正しかったかどうかを確認する場合なら「よろしかったでしょうか」は使っても良い。「昨日決定した集合時間ですが、予定通り明日の朝8時で宜しかったでしょうか」という感じに使える。

⑲外出されております

社外の人から電話があり、部長に変わって欲しいと連絡があった場合、「部長は外出されております」と受け答えるのは誤りである。社外に身内の人の話をする場合は、身内のものに敬語を使わないルールなので「申し訳ございません。〇〇は只今、外出しております」が好ましい。部長という役職名も不要。

⑳お休みをいただいております

社外の人から課長宛に電話があったが課長が休みの場合、「課長はおやすみをいただいております」と答えるのは不適切。先ほど同様、社外の人に身内の人の話をする場合は、敬語を使わないルールなので「申し訳ございません、あいにく〇〇は休みを取っております」が適切です。

㉑ご持参ください

「資料をご持参ください」

持参するは謙譲語になるため、主語が自分になる場合にしか使えない。この場合の主語は相手になる。よって、「持つ」の尊敬語である「お持ちになる」をつかって「資料をお持ちになってください」とするのが適切だ。

㉒大丈夫です

「大丈夫です」ということばは肯定なのか否定なのか曖昧である。相手の申し出や好意を辞退する場合は、「お気持ちは嬉しいのですが遠慮しておきます」と伝えよう。

㉓拝見されました

「資料は拝見されましたか?」

拝見するは謙譲語なので文章の主語が自分でないと使えません。この場合は「見る」の尊敬語である「ご覧になる」を使おう。「資料はご覧になりましたか」とするのが適切だ。

㉔各位様、社長様

ビジネスメールでもよく目にする「各位」、そもそも「各位」には「皆様」という意味が含まれているため、改めて様をつける必要がない。「社長」も同様に、役職名自体が敬称なので、様をつけると二重敬語になってしまう。

㉕忘れていました

「すみません、忘れていました」

忘れるの謙譲語である「失念する」を使って「大変申し訳ありません。失念しておりました」と言い換えよう。忘れてしまった申し訳なさや反省の意がより伝わる。

2.まとめ

敬語は主に、尊敬語,謙譲語,丁寧語の3つに分類される。

尊敬語:相手をもちあげる言葉です。文章の主語が「相手」になる時しか使えません。
謙譲語:自分をへりくだることで相手を立てる。文章の主語が「自分」になる時しか使えません。
丁寧語:相手を上げずに自分も下げずに敬意を示す。文章の主語が相手であろうが私であろうが使えます。

ビジネスシーンでは「言う」や「聞く」、「行く」や「来る」といった言葉を頻用します。そこで、これらの言葉の尊敬語、謙譲語、丁寧語がどうなるか?について一覧表を作成した。

ビジネス敬語一覧表.pdf

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