どうも!マネージャー菊之進です。
マネジメント能力とは、部下の能力を引き出し、組織の目標を効率よく達成する能力のこと。
本記事は、課長やリーダーが部下の育成・指導に役立てるマネジメント能力を紹介する。
初めて管理職につく人から、更にマネジメント能力を伸ばしたいあなたに必見。
- 企業の管理職に求められるマネジメント能力とは何か
- 課長やリーダーに最も求められるマネジメント能力とは
- マネジメントとリーダーシップの違いについて
- 部下のやる気を引き出す上手なマネジメントの方法とは
- 部下に嫌われるマネージャーの特徴全て(こうなってはいけない)
- マネージャーとしてスキルアップするための方法とオススメの書籍
- 転職時に求められるマネジメント能力とは何か
1. マネジメント能力とは
① マネジメントの意味・定義
マネジメントとは組織・団体を管理することや、経営そのものを示すよ。
マネジメントの目的は、組織内の人的・物的資源を最大限に有効活用して成果をあげること。
すなわちマネジメント能力とは、組織全体をまとめ統制し、事が円滑に運ぶよう工夫できる力である。
以下にマネジメント能力を定義する上で参考にした辞典や、偉人の見解を紹介するね。
辞典による『マネジメント(=管理)』の定義
ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと
出典:小学館
組織を取りしきったり、施設をよい状態に維持したりすること
出典:三省堂
一定の目的を効果的に実現するために、人的・物的諸要素を適切に結合し、その作用・運営を操作・指導する機能もしくは方法
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
縄張りをして土台をすえいとなみ造ること,工夫をこらして物事をいとなむこと
出典:日本国語大辞典
一定の協働目的を効果的,能率的に達成するために,協働体系そのものの維持発展をはかる機能
出典:ブリタニカ国際大百科事典
『マネジメント』に関する権威者の見解
マネジメントとは、それが最高かつ最善の方法で行われていることを知るという芸術
Frederick Winslow Taylor 科学的管理法の父(1856〜1915年)
マネジメントするとは、予測する、計画する、編成する、指揮する、調整する、制御するということ
Jule Henri Fayol 管理原則の父(1841〜1925年)
マネージメントは、人々が物事を成し遂げるための芸術です
Mary Parker Follett 現代経営の母親 (1868〜1933年)
マネジメントとは、人にかかわるものである
その機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、
強みを発揮させ、弱みを無意味にすることである
Peter F.Drucker 現代経営学・マネジメントの発明者(1909〜2005)
② マネジメントとリーダーシップの違い
マネージメントは組織のため、リーダーシップは世のため人のため発揮される能力。
マネージメントは、組織の生産性を上げるために求められる一方、リーダーシップは会社やそこで働く人達を明るい未来へと導くために求められている。
以下、マネージメント能力とリーダーシップの違いについて比較してみた。
マネージメント | リーダーシップ | |
主な意味 | 管理 | 指導 |
目的の違い | ビジョンを実行する | ビジョン(理想像、未来像)を作る |
突き詰め方の違い | 「どうやって?」「いつまでに?」 | 「何をする?」「なぜする?」 |
役割の違い | 規則を遵守し成果を上げる | 革新的で、新しい動向を作る(創造的破壊者、イノベーター) |
性質の違い | 他者から能力や行動を学ぶ | オリジナルで独創的 |
リスクに対する違い | リスクを最小限に抑える | リスクをとって挑戦する |
目標達成期間の違い | 短期的で報酬を求める | 長期的で改革をのぞむ |
成長の違い | 能力のある人を育成し、成果の出る行動を促す | リーダー自身が成長し続ける |
仕事内容の違い | 目標達成するために必要な構造(システムやプロセス)に注力する | アイデアをビジネスに融合する |
人への接し方の違い | 人々にタスクを割り当て、完遂すべくアドバイスをする | 人々を導く、信頼に応える |
権限の違い | 従業員を従える(拘束力あり) | ファンの自由意志(拘束力なし) |
両者似ていて非なるもの。
課長、リーダー以上の管理職には、両方必要な能力であることが分かる。
例えば、マネジメント能力が100%でリーダーシップが0%の上司がいたとすると、管理ばかりで息がつまる思いをする。
反対に、リーダーシップ100%でマネジメント能力が0%の上司もどうだろうか。
仕事は楽しいかもしれないが、掲げた目標に対するフィードバックがないと不安になる。
よってマネジメント能力とリーダーシップの両方をバランスよく持ち合わせた人が望まれている。
③ マネージャーの役割とは
一般的に、マネージャーとは企業においてマネジメントを行う者のこと。
いわゆる管理職のことで、労働者を指揮し組織の生産性を高めることがお仕事だ。
一般的に規模の大きな会社では、3つのレベルの管理職が設定されている。
それぞれの管理職の役割について以下に示すね。
マネージャーの役割
① トップマネージャー(取締役会のメンバー、最高経営責任者(CEO)または社長)
彼らは、組織全体の運営を統制し監督する責任がある。開発戦略計画を練り、企業方針を決定し、組織の全体的な方向性に関する決定を下す。更には株主、一般市民、機関に対して説明責任を負う公的な役割を果たしている。
② ミドルマネージャー(支店長、部長)
彼らは、会社の方針や経営トップの目標に沿った組織計画を実行する。部門内のパフォーマンスの向上に取り組み、経営陣と意思決定やアイデアを共有する。昨今では、経営環境の変化を踏まえた新しい事業や仕組みの企画立案なども求められている。
③ ファーストラインマネージャー(チームリーダー、課長)
彼らは、従業員の管理と指導に焦点を当てる。割り当てた仕事に対する指導と監督、生産とサービスの質と量の確保に務める。基本的に以下の役割を果たす。
- 新入社員のためのトレーニング
- 監督業務
- 動機づけ
- パフォーマンスのフィードバックとガイダンス
- 昇進を目指す従業員のキャリアプランニング
④ 管理職に求められるマネジメント能力とは
管理職に求められるマネジメント能力は次の3つ。
- テクニカルスキル
専門分野で発揮する能力、現場で役立つ実践スキルのこと - ヒューマンスキル
コミュニケーション能力、チームが働きやすい環境づくり - コンセプチュアルスキル
企業全体をみる能力、組織内外の相互関係を視覚化でき最善の行動を導く
これらスキルは、先述したマネージャーのレベル(トップ、ミドル、ファーストライン)によって求められる比重が変わるよ。
一般的には、トップマネージメントに近づくほどコンセプチュアルスキルが求められる。
どの層にも共通して求められるのがヒューマンスキルだ。
ロバート・L・カッツのマネジメントスキル(カッツ・モデル)
ちなみに、この3つのスキルを提唱したのは、ハーバード大学教授ロバート・カッツ氏。(1933〜2010)
参考文献:スキル・アプローチによる優秀な管理者への道 著者:ロバート・L・カッツ
世界中の経営者や管理者が参考にしており、日本でも内閣人事局がまとめた管理職に求められる「マネジメント」、管理職が執るべき行動のあり方についてに登場する。
2. マネジメント能力を向上させて優秀な部下を育てる方法8選
現場で活躍する課長やリーダー(ファーストラインマネージャー)が習得に困難だと感じているマネジメント能力とは何だろう。
それはずばりヒューマンスキルだ。
以下、産業能率大学が行った上場企業に勤める課長717人に対する調査結果を見て欲しい。
出典:第4回上場企業の課長に関する実態調査(2017年11月)
上記に記された課長の悩みトップ5はこちら
1位:部下がなかなか育たない
2位:部下の人事評価が難しい
3位:職場の(or 自分の)業務量が多すぎる
4位:求められる成果が出ていない
5位:部下が自分の指示通りに動かない
部下育成に関する問題が多く、ヒューマンスキルの重要性が伺える。
以下に、部下との信頼関係を構築し、優秀な部下を育成し、組織の生産性を最大限に上げるための方法(マネジメント能力の向上)を紹介するね。
① 部下の話に耳を傾ける「傾聴力」を身につける
課長の多くは、確かに部下の話を良くきいてるが「きき方」を間違えてしまうことが多い。
傾聴に大事な「きく」は、次に示す3番目の「聴く」。
「訊く」・・・たずねて答えを求めること、問いただすこと、とがめること
「聞く」・・・自然と声や音が耳に入ってくること、聞き流すこと
「聴く」・・・耳を傾けてまっすぐな心で受け止めること
「そんなこと知っているよ!当然じゃないか」
と思うかもしれないが、残念ながらほとんどの課長は1番目の「訊く」と2番目の「聞く」になりがちだ。
確かに課長の基本業に「部下の進捗確認」はあるのだが、これがメインになってしまうと部下との関係は悪化する。
部下は、上司に対して次第に息苦しさを募らせていく。
「いや、私は部下の話をちゃんと聞いているよ」
という声もありそうだが、本当に聴いているのだろうか。
部下と話をする前に、予め話の内容に着地点(ゴール)をおいて、誘導しようとしてはいないだろうか。
例えば「プロジェクトの進捗具合を確認して、思うように進んでいなければアドバイスをしてやろう」などと話す前から企んでいないだろうか。
それは傾聴でなく、話の誘導であり自分の世界に強制的に引き込むことになる。
傾聴とは、耳を傾けて相手の目を見て、まっすぐな心で受け止める能力のこと。
最初からアドバイスをしようと思って話しかけるのではく、部下が今思っていること、感じていることに共感することから始めなければならない。
一方的な価値観を押し付けずに、ただ彼らの気持ちを大切にする。
部下との信頼関係の構築は、まず「聴くこと」から始まる。
部下の直近の功績(どんな些細なことでも)
仕事に対する考え方(今何に力を入れているか)
仕事の悩み(明らかに困っていること、大変そうなこと)
② 部下に対する「質問力」を養う
良い質問は、部下に気づきや発見をもたらし自発性を促すことができる。
上司が部下に質問をするケースで最も多いのが、部下の仕事の進捗確認のときだろう。
例えば、部下が「指示したはずのタスク」を実行していなかった場面を思い浮かべて欲しい。
【良くない質問の仕方】
「〇〇の件、どうだった?」
「〇〇は、試したか?」
「どうして、やらなかったんだ?」
「いつまでに、やる?」
「もう3年目なんだから、それぐらいやっておくこと」
【良い質問の仕方】
「〇〇の件、どうだった?」
「どのように解決するのがいいと思う?」
「行き詰まる問題点は何だろう?」
「今週中に終わらせよう!俺もサポートするから」
前者は、部下任せでプレッシャーを与える近寄りがたい上司という印象を受ける。
後者は、部下に寄り添って、しっかりサポートしてくれる頼り甲斐のある上司という印象だ。
どちらの上司も「目標を達成し部下を育成する」という目的は共通しているのだが、受け取り側の部下からすると大きな違いに。
指示した内容ができてないということは、部下はそのタスクに壁を感じているのだ。
プレイヤースキルに長けた上司にとっては簡単なことでも、キャリアの浅い部下は難易度が高いと感じていることは往往にしてある。
部下と信頼関係を結ぶためには、彼らに寄り添い、一緒に問題解決をする姿勢が望まれている。
③ 部下の「アウトプット能力」を向上させる
人はインプットした事をアウトプットしながら成長する。
学びを成果に繋げるために、インプット:アウトプットの比率は3:7が良いとされている。
しかし現実はどうだろうか。
この比率が8:2くらいになってるケースはとても多い。
「部下がなかなか育たない」理由としてインプットが多すぎることが問題となっているのだ。
どれも大事な事だからと言って、情報を詰め込み過ぎはよくない。
言葉でどれだけ説明しても、聞いた本人が行動に移さなければ、それは宝の持ち腐れになる。
部下のレベルに応じて、ちょっと背伸びするくらいの仕事を与えてアウトプットを促そう。
最低限の手順・やり方・注意点など伝えながら、できないところはフォローして、少しずつ実践させる。
そうやって、できる範囲、やれる事を増やしていってみる。
部下のアウトプットに対して、フィードバックも大切。
「よく頑張ったね。〇〇君が〇〇を工夫した成果だと思うよ、次も宜しくね!」
などとリアクションするだけでも、部下はやる気が起きるし、仕事の質も上がり自走し始める。
参考図書:学びを結果に変えるアウトプット大全
④ 部下を導く能力「リーダーシップ」を磨く
マネジメント能力を最大限に発揮するには、リーダーシップも無ければならない。
部下を導く(部下が付いて行きたいと思う)上司に必要な能力は以下3点である。
- チームビジョンが共有できている
- メンバー1人1人の能力が活かされている
- メンバーのモチベーションが維持できる
例えば、グループメンバーを目的地へと導く団体旅行の幹事を想像してほしい。
個々のメンバーが時間を守らず、自由気ままに動いてしまうのなら、わざわざ皆で旅行する意味がない。
しかし逆に、メンバー全員が目指したいと思える共通の目的地がはっきりしていれば、一体感のあるまとまった行動を取ることができる。
これがチームビジョンの共有ができている状態。
次に旅行の効率性を考えてみよう。
幹事一人で、旅行の旅行プランを組み立てるのは大変だ。
それならばと、メンバー1人1人に役を持たせてみる。
写真を取るのが得意な人はカメラマン役に。
グルメ好きは、ランチやディナーのお店を調べて予約する役に。
お金の管理が得意な人には旅行の費用(移動代・飲食代・宿泊代など)を集金して立て替える会計役に。
メンバー各々に役があった方が楽しめるし効率的だ。幹事の負担も少なくて済む。
これがメンバー1人1人の能力が活かされている状態。
最後に、メンバーのモチベーション。
例えば、富士山に登るといってもその道は険しく長い。
最初はてっぺんを取ることに胸躍らせても、いざ登ってみると辛くて断念しそうに。
そんな苦しい道中でも楽しめる工夫を用意をしてもらえると助かる。
美味しい登山飯が頂ける山小屋、富士山でしか見られない希少な高山植物、絶景の撮れる撮影ポイントなど。
どんなに道のりが険しくても、ささやかな楽しみがあるだけでモチベーションが上がり、また頂上を目指す力になるものだ。
仕事も一緒。上司は部下と目的地を共有し導き、個々の能力を活かす方法を考え、モチベーションを維持することを常に考える必要がある。
⑤ 部下に「役割」を与えて個々の能力を伸ばす
個々のメンバーに適切な役割を分担することで、チームはプラスαの力を生み出せる。
部下の個性を活かして、個々の多様性を発揮しつつ、一丸となって共通の目標を達成することはチームビルディングの基本。
- アイデアを出すのが得意な人は、新たな戦略や戦術を考えるサポート役に
- 人脈力のある人は、業界の最新動向やライバルの情報収集を掴む役に
- 明るい性格の人は、チームのムードメーカー役に
- 積極性のある人は、個々のメンバーに刺激を与えてメンバー間のやる気を引き出す役に
- 分析が好きな人は、過去のデータから問題点・課題を見つける役に
- PCに得意な人はエクセル、パワーポイントのアドバイザー役に
誰が、どの作業を、いつまでにこなすか考えながら、メンバーの強みを生かした業務領域を定める。
結果、部下の仕事の動機付けを行うことができ、やる気を引き出し、仕事のモチベーションや自信に繋げることができる。
⑥ 指示を的確に伝える「伝達力」を高める
上司の指示した内容が部下にズレて伝わることは往往にしてある。
部下は「指示が曖昧。。分かりづらい」と思っても立場上なかなか言い出し辛い。
ロジカルに伝えられるように工夫しよう。
- 結論
- 理由
- 根拠
- 具体例
この4つの流れで、指示があると納得でき行動に移しやすい。
例)
- 結論「接待は、レストラン ローブ がおすすめ」
- 理由「料理も美味しく、接客が素晴らしいから」
- 根拠「ミシュランで三つ星を獲得している(料理やお店の写真を掲示して) 」
- 具体例「前回、接待で使った時に喜んでもらえた(具体的なエピソードを)」
指示が的確であればあるほど、部下は動きやすい。
⑦ 部下にやって見せる「お手本」でサポート
大日本帝国海軍の軍人である山本五十六(1884〜1943年)の言葉は、あまりにも有名であるが改めて。
やって見せ
言って聞かせて
させてみせ
褒めてやらねば
人は動かじ
出典:山本五十六語録
一番初めの「やって見せ」を通り越して二番目の「言って聞かせて」に専念してはいないだろうか。
同行前に部下としっかり擦り合わせて、商談の質をあげるお手本を見せよう。
- 商談の目的やゴールの設定
- 商談に必要な資材の準備
- 話の進め方について擦り合わせ
- お互いの役割を把握する
初めての逆上がりや自転車の一人乗りまでの練習と同じ。
仕事でもお手本を見せたり、後ろからバックアップしてあげると部下の成長が早い。
⑧「ファシリテーション力」を磨き生産性のある会議を行う
マネジメント能力の中でも一際大事なのがファシリテーション力。
チームの生産性をあげるために行なうための会議だが、実態は違うようだ。
「会議が長すぎる・・」
「この会議に私、出席する意味ある・・?」
「議題が横道にそれてるよね・・」
と悲痛な叫びを訴える部下は意外と多い。
残念ながら、上司は気づいていないことが大半。
計8名のチーム会議でたった1時間でも時間を節約できれば、計8時間分を業務に回すことができる。
これは1人分の人件費にあたる。
- 交錯する意見の上手なまとめ方
- 発言しない人の意見の引き出し方
- 時間内に会議を終わらせるコツ
などなど。組織の生産性を高める会議の進め方については以下の記事をご参考に。
3. 部下に嫌われるマネジメント能力のない上司とは?
反面教師としてそうなってはいけない事例として紹介する。
以下に、マネジメント能力がない部下に嫌われる上司像を示す。
① 部下の努力や業績、能力を認められない
部下は自分が良い仕事をした時に、上司に褒められると「もっと頑張ろう」と思うもの。
大きな業績を残した時にだけ褒めるのではなく、小さな功績に対しても認めて褒めてあげよう。
褒めるコツは、結果を出すための努力や過程を認めてあげること。
そのほうが部下は仕事のモチベーションが上がるのだ。
- 全力で取り組んだ時
- 工夫した時
- 成長した時
- 手際よく仕事をした時
- 積極的に行動した時
- 交渉がうまく行った時
- 成果(数字)をあげた時
② 大勢の前で叱る
大勢の前で叱ることは、見せしめであり公開処刑になってしまう。
部下といえども、一人の人間。なるべく人前で恥をかきたくないもの。
指導・教育の観点からも、人前で叱ることは何の効果も期待できないことは証明されている。
叱るときは人前を避けて、手短に要点を伝えて、根に持たない、感情的にならないこと。
一方的に怒るのではなく、相手の気持ちを共感した上で具体的な改善策を示してあげると効果的。
③ 部下の意見を妨げて自分の意見を言う
部下の意見を途中で遮り、自分の考えを話し始める人は要注意。
部下が上司に報連相をしなくなる理由はここにある。
「どうせ相談しても聞いてもらえない・・」と彼らは思っている。
部下からの相談があればまずは堪えて、話を最後まで聞こう。
ここで傾聴力が役に立つ。
④ 飲み会でコミュニケーションを図ろうとする
マイナビウーマンの調査によると、今や社会人男女の2人に1人が飲み会に対して苦手イメージを持っているとのこと。
彼らは飲み会に参加すること自体ストレスになってしまうので、無理に飲み会に参加させず、現場同行の際などにコミュニケーションを図ろう。
マネジメントの本質は、飲み会で部下と仲良くなることではない。
仕事を通じて生まれた信頼関係にこそある。
⑤ 部下と他部署の優秀者を比較する
「同期の〇〇さんは、優秀。彼にやり方を教えてもらったらどう?」
という何気ない一言は、部下のモチベーションを著しく落とす原因になっている。
いつの間にか、部下の欠点探しをしていないだろうか。
上司の多くは、物事がうまく進んでいる理由ではなく、上手くいっていない理由を追求する。
上手くいかない理由探しに執着すると、部下の良いところは全く見えなくなる。
今一人の部下を想像して、その部下の良いところが3つも言えなければ問題だ。
最初から部下のアラを探すのではなく、部下の良いところを探すようにしよう。
部下の仕事ぶりの中から素晴らしいものを認め、褒められるようにする。
そうすれば、部下の仕事に対する意識は向上して、仕事の量も質も改善されるだろう。
⑥ 指示が分かりにくい
自分は指示したつもりでも、部下がその内容を正確に受け取っていないことは多々ある。
部下の理解力が乏しいからと片付けるのではなく、自分の説明を見直してみることも大事。
部下の目線で上司の指示が分かりにくいと感じる時とはどんな時だろうか、以下に示す。
- 話が長すぎて要点がつかめない
- 話が短すぎて理解できない
- 専門用語が多く理解に苦しむ
- 支持の中身が抽象的で曖昧
- 言ってることが二転三転する
- 突然思いついたことを指示する
- 指示した内容に期限がない
- 分からないことを質問しても「それくらい自分で考えろ」と突き返される
部下には部下のレベルがあるので、まずは一旦、整理して分かりやすく説明するように心がけよう。
簡潔に要点を押さえて、かつ具体的に指示することを意識する。
もし指示内容が分かりにくければ、気軽に質問して良いと一言添えておくこと。
部下に伝わる支持の仕方は⑥ 指示を的確に伝える「伝達力」を高めるを参照。
⑦ 自分の間違いを認めない
自分のミスを絶対に認めない上司に対して部下が思っていること。
「器が小さい。醜い。人として信じられない。お手本にしたいと思えない」
厳しい言い方だが、自分の間違いを隠す上司に、部下は決して心を開かない。
「上に立つ人間なのだから、部下に舐められてはいけない。弱みを出せば上司部下の関係が維持できない」という上司側の気持ちは分かる。
けれどもやはり、間違いは間違いと紳士に受け止め乗り越えてこそ。
自分のミスを素直に認め、部下の前で正直に謝ることができる上司は素晴らしい。
そんな上司であるほど部下は自らの失敗を話し、相談に乗ってもらいたいと思うものだ。
そして何よりも、間違いを認め改めることは、組織の生産性を高めることであり、まさしくマネジメントの基本。
マネージャーたるもの自分のマネジメントもしっかり行ってこそ、部下の手本になる。
⑧ その他
その他、マネジメント能力が疑われる上司の特徴を以下にまとめた。
- えこひいきする
- 失敗を部下のせいにする
- 部下の手柄を横取りする
- 女性に対する偏見がある
- 部下から指摘を受け入れない
- 自分より先に帰るなという雰囲気(その他、有給が取りづらい)
- 仕事を任せない
- 気分屋で感情の起伏が激しい
- そもそも見下している
- 自慢話、昔話が多い
- 上司に媚びて部下には偉い
- 細かいどうでもよいことに拘る
- セクハラをする
- 部下を信用していない
- 他の部下に対する愚痴を言う
- 息が臭い
4. マネジメント能力を向上させるのに役立つ本(おすすめ)
マネジメント 基本と原則
アメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーによるマネジメントの基本理論書で、経営者やリーダーなど、人の上に立つ者の必読書である。
チームで成果を出すにはどうしたかよいか、リーダーとはどうあるべきか。
管理職の果たすべき役割から、必要な技能まで整理されたマネージャーのバイブル。
仕事に役立つエッセンスがたくさん詰まった初心者向け本格的入門書である。
最高の結果を出すKPIマネジメント
売上げ2兆円企業となったリクルートグループの土台を築いた「KPIマネジメント」
経営層からプレイヤー層までKPIマネジメントを理解・実践するのに適した良著。
目標設定の方法と利益を最大化させる(業績を上げる)ための基本的な考え方について。
単に数値を見ながら事業運営する「なんちゃってKPI」とは一線を画する、本格的なKPIマネジメントをお届けする。
困った部下が最高の戦力に化けるすごい共感マネジメント
指示待ち人間、指示に従わない、手を抜く部下を管理し、結果を出せるチームワークとは。
困った部下を最高の戦力に変える「共感マネジメント」の手法について。
リーダーが部下に対して取るべき姿勢と手順をメソッド化した、読みやすく分かりやすい良書。
思い通りに動かないチームを、面白いほど売上が上がるチームに変えるためにお勧めの1冊。
最高のリーダーほど教えない
「教える」から「気づかせる」のアプローチへ。
5000人以上のリーダーを務め、組織を変えてきたエグゼクティブコーチが驚きのマネジメント法を初公開。
教えても、説明しても、怒鳴っても、部下が変わらないのは、部下自らの「気づき」が伴っていないから。
「気づき」とは、これまで思い込んでいた解釈や常識、世界観が変わる事。
良い「気づき」は、部下の自主性を促して発想力や思考力が高めることができる。
部下に「気づかせる」ためにリーダーがなすべきこと、部下との接し方を知るのに最適な1冊。
シリコンバレー式 最強の育て方
月たった30分の対話で、社員のやる気を引き出し自走させる「1on1ミーティング」驚きの手法について。
(googleやヤフーなどの業績が伸びている会社で実践されている手法)
今日、組織で行われているコミュニケーションとは結果を出すための「情報交換」のみ。
そのほとんどが上司から部下への一方的な情報伝達に過ぎないのだ。
ただ、そのような表面的なコミュニケーションで結果を出すことは難しい。
部下を動かし結果を出すためには、彼らに焦点を当てた継続的な「対話」が必要だ。
本書は、部下との信頼関係構築や成長支援に役立つ「対話」の方法を具体的に示した良書である。
5. マネジメント能力を転職で活かすポイントとは
転職活動において30代半ばからは、プレイヤースキル以上にマネジメント能力が求められる。
採用の際に企業が重視するマネジメント能力とは、前職におけるマネジメントの経験であり成果である。
〇〇マネージャーといった管理職の肩書きはあるに越したことはないが、それ以上にマネジメント経験(実績や成果)をしっかりアピールすることが大切だ。
- マネジメントに関わった年数
- まとめたチームやプロジェクトの概要(年齢や人数、目標など)
- どのようなマネジメントを行ったか
- 具体的な成果(目標達成率、上昇率、全国◯位など)
- コストパフォーマンス(経費を意識して費用対効果のある実績を残せたか)
- その他、部下の育成や指導に関する成果
30代以降の転職で、マネジメント経験を活かしたハイクラス求人の探し方は以下をご参考に。
6. マネジメント能力のまとめ
1. マネジメント能力とは
マネジメント能力とは、組織全体をまとめ統制し、事が円滑に運ぶよう工夫できる力である。
そしてその目的は、組織内の人的・物的資源を最大限に有効活用して成果をあげること。
2. マネジメント能力を向上させる方法とは
管理職に最も求められているマネジメント能力は、ヒューマンスキル(部下とのコミュニケーション)
部下の話を傾聴し、アウトプットを積極的にするように指導する。
上司自身は、リーダーシップを発揮し、指示を的確に伝える力を磨くことが大切。
3. 部下に嫌われるマネジメント能力のない上司とは?
部下を認めない、大勢の前で叱る、部下の意見を聞かない、他の優秀者と比較する、わかりにくい指示を出す、自分の間違いを認めない上司のこと。
4. まとめ
マネジメント能力を高めることは、組織の生産性を高めることだが、組織を動かしているのは一人一人の人であることを忘れてはいけない。
会社の規模が大きくなり、組織が複雑になればなるほど、管理すべきことや仕事量も増えていき、部下との関わりが希薄化していく。
が膨大な仕事量であるからこそ、個の力を伸ばし強いチームを作り上げる必要がある。
個々のメンバーのやる気を引き出し、優秀な部下を育成し、手際よく成果を出せるチームを作ることが求められる。
マネジメント能力は、今後も管理職に求められる重要なスキルであることは間違いないだろう。